神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜
「今後は夜更けに、俺の部屋を訪ねるような真似は止めてくれ。率直に言って、困る」
「え……?」

一瞬、何を言われたのか、理解が追いつかなかった。
けれども、自分がずっと思い違いをしていたのだと、セキの拒絶の言葉によって気づかされた。

(ヤダ、私ってば……!)

カアッと、一気に全身が熱くなる。

(仲良くって……触れるって……表面的なことじゃなくて、ソッチ……)

てっきり、セキの手をにぎって、セキの真名(なまえ)を念じれば良いのだとばかり考えていた。

(気恥ずかしいけど、そのくらいだったらできるかもって、こんな時間に来たのに)

イチの言葉の真意を知り、穴があったら入りたい思いにかられる。と、同時に、セキの(かたくな)な口調も思いだし、心にすき間風が吹いたような気分にもなった。

(いまのセキの態度って……)

瞳子はもう一つ、勘違いをしていたのかも知れない。
「好き」だの「側にいて欲しい」だのは【人として向けられた好意】だったのだろうか。

(私、セキから恋愛感情向けられてると思ってたけど……それも実は、勘違いだった……?)
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