神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜
やるせなげな笑みを浮かべるセキから剣を受け取り、瞳子はイチと輝玄を目線でうながす。
片手を水晶玉の半面に置いた輝玄が、イチを振り返った。
「それでは、まずは『御使者殿』。こちらの珠に、共に手を触れてくださいませぬか?」
うやうやしく告げる輝玄にイチが大人しく従うと、透明だった水晶が紫色に変わり、直後、イチの姿が消えた。
「お次は……天女様ですね」
片手に“神逐らいの剣”をにぎりしめ、セキと見交わしたあと、瞳子は水晶玉にもう片方の手を伸ばす。
イチの時と同じように、水晶の色が変わるのを視界の端でとらえた。
その、次の瞬間。目に映る景色が、ガラリと様変わりする。
天は藍色に揺れ、琥珀色の輝きが一点から下方へと降り注ぐ。足もとにあるのは、金粉をまぶしたような白い砂地。
視線を転じると、瞳子の頭の上をキラキラとした銀色の筋が通り過ぎて行った。魚の群れのようだ。
(私、いま、海のなかにいるの……?)
その不可思議な景色に感動する一方で。
瞳子は、自らをつつむ空間が、そこだけ切り取られたように海中でありながら地上にあるような体感を覚える。
片手を水晶玉の半面に置いた輝玄が、イチを振り返った。
「それでは、まずは『御使者殿』。こちらの珠に、共に手を触れてくださいませぬか?」
うやうやしく告げる輝玄にイチが大人しく従うと、透明だった水晶が紫色に変わり、直後、イチの姿が消えた。
「お次は……天女様ですね」
片手に“神逐らいの剣”をにぎりしめ、セキと見交わしたあと、瞳子は水晶玉にもう片方の手を伸ばす。
イチの時と同じように、水晶の色が変わるのを視界の端でとらえた。
その、次の瞬間。目に映る景色が、ガラリと様変わりする。
天は藍色に揺れ、琥珀色の輝きが一点から下方へと降り注ぐ。足もとにあるのは、金粉をまぶしたような白い砂地。
視線を転じると、瞳子の頭の上をキラキラとした銀色の筋が通り過ぎて行った。魚の群れのようだ。
(私、いま、海のなかにいるの……?)
その不可思議な景色に感動する一方で。
瞳子は、自らをつつむ空間が、そこだけ切り取られたように海中でありながら地上にあるような体感を覚える。