神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜
だからという訳ではないが、瞳子に会いたい気持ちがもたげてきて、思わず本音をこぼすと。
却下です、と、にべもなく一葉に突き放された。
「煌様にもお聞きになられたかと思いますが、瞳子様がこちらに【お戻りになられた】直後でないと、赤狼様がお会いすることはなりません」
確かに、煌の説明によれば、セキがやって来た【この時】は、瞳子がセキを【知らない】。セキを知らない瞳子に会うことは無意味だというのは、解る。
それだけではなく、【本来と違う出逢い方】をすれば、その後の出来事もまた【変わってしまう】と。
「『時の流れ』が正常でなくなるからだな? 理屈は解るが、遠くからなら」
「万が一瞳子様の視界に入ると、瞳子様の記憶に貴方が残ります。そうすると、貴方がたの出逢いは“陽ノ元”でなく、こちらになりますが」
「……視界に入った程度で果たして『出逢い』と言えるのか?」
そもそもそれで、瞳子がセキを認識したことになるのかどうか、疑問なのだが。
会って言葉を交わしたことにより『時の流れ』に影響が出て、自分と瞳子の“陽ノ元”での関係に支障があるというなら、避けるべきだろう。
しかし───。
却下です、と、にべもなく一葉に突き放された。
「煌様にもお聞きになられたかと思いますが、瞳子様がこちらに【お戻りになられた】直後でないと、赤狼様がお会いすることはなりません」
確かに、煌の説明によれば、セキがやって来た【この時】は、瞳子がセキを【知らない】。セキを知らない瞳子に会うことは無意味だというのは、解る。
それだけではなく、【本来と違う出逢い方】をすれば、その後の出来事もまた【変わってしまう】と。
「『時の流れ』が正常でなくなるからだな? 理屈は解るが、遠くからなら」
「万が一瞳子様の視界に入ると、瞳子様の記憶に貴方が残ります。そうすると、貴方がたの出逢いは“陽ノ元”でなく、こちらになりますが」
「……視界に入った程度で果たして『出逢い』と言えるのか?」
そもそもそれで、瞳子がセキを認識したことになるのかどうか、疑問なのだが。
会って言葉を交わしたことにより『時の流れ』に影響が出て、自分と瞳子の“陽ノ元”での関係に支障があるというなら、避けるべきだろう。
しかし───。