神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜
なるほど、と、セキはようやく一葉の言いたいことの合点がいった。
取るに足らないささないなことでも変えれば、その積み重ねで不確定要素はさらに変わる、ということだ。
「常日頃の行動や『強い想い』は大きくは変わらなくても、突発的な事象や『気まぐれな感情』は変化する可能性が高い。
───ま、言ってしまえば都合の問題ですよ。道筋は変わって遠回りしたとしても、結論は同じ、ということも有り得ますからね。
それを良しとするか悪しとするかは、赤狼様次第ですが……わざわざ遠回りする必要がありますかね?」
「……ないな」
セキは、大きく肩を落とした。つまり、いっときの我慢ができずに、すべてを無に帰する意味があるのか、ということだ。
(永遠の別れではない)
月が満ちれば、瞳子はこちらに【戻って来る】───セキを【知っている】瞳子が。
(そうだ、瞳子がオレに「待ってて」と言ってくれたことを忘れていた)
煌の力を借り、この世界にやって来たため、しばらく会えないと思っていた瞳子に、会えるという喜びが先に立ってしまった。
戻って来るから───そう言ってくれた彼女を信じて待つと、あの晩、誓ったはず。
取るに足らないささないなことでも変えれば、その積み重ねで不確定要素はさらに変わる、ということだ。
「常日頃の行動や『強い想い』は大きくは変わらなくても、突発的な事象や『気まぐれな感情』は変化する可能性が高い。
───ま、言ってしまえば都合の問題ですよ。道筋は変わって遠回りしたとしても、結論は同じ、ということも有り得ますからね。
それを良しとするか悪しとするかは、赤狼様次第ですが……わざわざ遠回りする必要がありますかね?」
「……ないな」
セキは、大きく肩を落とした。つまり、いっときの我慢ができずに、すべてを無に帰する意味があるのか、ということだ。
(永遠の別れではない)
月が満ちれば、瞳子はこちらに【戻って来る】───セキを【知っている】瞳子が。
(そうだ、瞳子がオレに「待ってて」と言ってくれたことを忘れていた)
煌の力を借り、この世界にやって来たため、しばらく会えないと思っていた瞳子に、会えるという喜びが先に立ってしまった。
戻って来るから───そう言ってくれた彼女を信じて待つと、あの晩、誓ったはず。