神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜
───場所を変えようかと瞳子たちに告げた若い男、白河一葉は、どうやらイチが言っていた瞳子を“陽ノ元”に戻すための『案内人』兼、セキの『世話係』だったようだ。
ロッカーへ私物を取りに行く際、一葉の『隠れ身の呪』とやらで、瞳子は誰にも遭遇せずに事なきを得た。
その後、一葉は瞳子の愛車のナビに住所を入力すると、
「では、のちほど」
と、自分の車に乗り、さっさと行ってしまったのだった。
(え? セキ連れて行かないの?)
ぽかんとする瞳子をよそに、セキはセキで当たり前のように瞳子の車に乗りこんだ。
(そりゃ、私もセキに会えて嬉しいけど、なんていうかっ……)
落ち着かない。視線が、痛い。ものすごく見られてるのが気恥ずかしい。
「……身体、もう大丈夫?」
車に乗りシートベルトを締めた時は、まだ少し息苦しそうだった。
いまこうして瞳子と普通に会話ができているところをみると、調子は戻ってきているのかもしれない。
「ああ、大丈夫だ。心配してくれて、ありがとな、瞳子」
「……なら、いいけど」
そちらを見ずともセキの声色の甘さから、彼が自分をどう見ているのかが伝わってきて、どうにも照れくさい。
もともと瞳子に対し、無条件で好意を寄せてくるところがあったから、余計に。
ロッカーへ私物を取りに行く際、一葉の『隠れ身の呪』とやらで、瞳子は誰にも遭遇せずに事なきを得た。
その後、一葉は瞳子の愛車のナビに住所を入力すると、
「では、のちほど」
と、自分の車に乗り、さっさと行ってしまったのだった。
(え? セキ連れて行かないの?)
ぽかんとする瞳子をよそに、セキはセキで当たり前のように瞳子の車に乗りこんだ。
(そりゃ、私もセキに会えて嬉しいけど、なんていうかっ……)
落ち着かない。視線が、痛い。ものすごく見られてるのが気恥ずかしい。
「……身体、もう大丈夫?」
車に乗りシートベルトを締めた時は、まだ少し息苦しそうだった。
いまこうして瞳子と普通に会話ができているところをみると、調子は戻ってきているのかもしれない。
「ああ、大丈夫だ。心配してくれて、ありがとな、瞳子」
「……なら、いいけど」
そちらを見ずともセキの声色の甘さから、彼が自分をどう見ているのかが伝わってきて、どうにも照れくさい。
もともと瞳子に対し、無条件で好意を寄せてくるところがあったから、余計に。