神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜
(メンドいけど、必要ではあるのかも)
そう思って瞳子が書き記したそれに、一葉が視線を落とす。
「───なるほど。
まず、退職の件。貴女が【落ちてきたこと】と関係ありますよね?」
「それは……まぁ」
単純に、“陽ノ元”へ行くためのけじめとしての退職ではない。瞳子は退職理由と共に本社にいる昔の上司に、今回のことを報告するつもりでいたからだ。
「だとすると……本来なら弁護士をつけるべきでしょうが、時間はかけてもいられませんしね。赤狼様に同席してもらったほうがいい」
「えっ。でも……」
「婚約者という肩書きで、無言の圧をかけるためですよ。うやむやにさせないために。そこが、重要なのでしょう?」
「確かに一番の狙いは、同じ思いを他の人にしてほしくないからだけど……」
ちらっとセキを見やれば、軽くうなずかれた。
「オレで役に立つなら、構わない。オレのほうも、瞳子に付き合ってもらってるしな」
「赤狼様もこうおっしゃってますし、この件はそれで。
それから───」
住んでいるアパートの解約やそれに伴う、家具などの処分。
業者を雇うことを一葉から提案されたが、さすがにそれは固辞した。それでは、けじめの意味がない。
そう思って瞳子が書き記したそれに、一葉が視線を落とす。
「───なるほど。
まず、退職の件。貴女が【落ちてきたこと】と関係ありますよね?」
「それは……まぁ」
単純に、“陽ノ元”へ行くためのけじめとしての退職ではない。瞳子は退職理由と共に本社にいる昔の上司に、今回のことを報告するつもりでいたからだ。
「だとすると……本来なら弁護士をつけるべきでしょうが、時間はかけてもいられませんしね。赤狼様に同席してもらったほうがいい」
「えっ。でも……」
「婚約者という肩書きで、無言の圧をかけるためですよ。うやむやにさせないために。そこが、重要なのでしょう?」
「確かに一番の狙いは、同じ思いを他の人にしてほしくないからだけど……」
ちらっとセキを見やれば、軽くうなずかれた。
「オレで役に立つなら、構わない。オレのほうも、瞳子に付き合ってもらってるしな」
「赤狼様もこうおっしゃってますし、この件はそれで。
それから───」
住んでいるアパートの解約やそれに伴う、家具などの処分。
業者を雇うことを一葉から提案されたが、さすがにそれは固辞した。それでは、けじめの意味がない。