神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜
「だけど……そうか、月島さん、いい人が見つかって良かったね。樋村(ひむら)くんとのことがあった時は、どうなるかと思ったけど……」
(ちょっ……橘さん、ナニ言いだす気!?)

セキの前で自分の黒歴史を語ってくれるな───と。
瞳子が橘の口をふさぎたくなった、その時。

「あの若さで……樋村くんも、相当無念だったと思うよ。でも……月島さんが、こうして前を向いて歩いて行けるなら、彼もきっと喜んでるよ」

草葉の陰でね……というしんみりとした橘の言は、瞳子にとっては、青天の霹靂(へきれき)であった……。



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