神獣の花嫁〜あまつ神に背く〜
その言葉に、思わず虎太郎を見返す。
茶色い瞳がたたえているのは、瞳子の心をおもんぱかろうとする意思。
自身でさえも気づかなかった想いを見透かされそうで、たまらず瞳子は視線をそらした。
「それ……あんたにとっては、大事な物なんじゃないの?」
「大事なんて言葉じゃ足りませんね。家宝で国宝で“陽ノ元”中の権力者垂涎ものの神器ですよ」
「……いいの? そんな特別なお宝を他人に渡して」
イチの横やりを受け、改めて瞳子は、虎太郎の真意を問うため、その茶色い瞳を探るように見つめた。
「他人には渡せないが、俺の“花嫁”になら別だ」
気負うことのない穏やかな眼差しが返される。
瞳子は、自分のほうが彼を試していたはずなのに、いつの間にか逆に試されていたことを知った。
(なんか、くやしい)
それでも、確認しなければならないことを重ねて問う。
「……ひとつ目の条件は、叶えてくれるのよね?」
「今日明日中にという訳にはいかないが、叶えられない願いではない。
……だな、イチ?」
「可能です。半月は要しますがね」
「半月……」
茶色い瞳がたたえているのは、瞳子の心をおもんぱかろうとする意思。
自身でさえも気づかなかった想いを見透かされそうで、たまらず瞳子は視線をそらした。
「それ……あんたにとっては、大事な物なんじゃないの?」
「大事なんて言葉じゃ足りませんね。家宝で国宝で“陽ノ元”中の権力者垂涎ものの神器ですよ」
「……いいの? そんな特別なお宝を他人に渡して」
イチの横やりを受け、改めて瞳子は、虎太郎の真意を問うため、その茶色い瞳を探るように見つめた。
「他人には渡せないが、俺の“花嫁”になら別だ」
気負うことのない穏やかな眼差しが返される。
瞳子は、自分のほうが彼を試していたはずなのに、いつの間にか逆に試されていたことを知った。
(なんか、くやしい)
それでも、確認しなければならないことを重ねて問う。
「……ひとつ目の条件は、叶えてくれるのよね?」
「今日明日中にという訳にはいかないが、叶えられない願いではない。
……だな、イチ?」
「可能です。半月は要しますがね」
「半月……」