混沌


総会が終わり、私はお土産の菓子折りを持って、駅直結のホールから改札へと向かった。

道半ば呆然と先ほどの議論の様子を思い出す。

質疑応答はこれでもかというほど手が上がった。
中でも、私は会場で比較的若く目立っていた男性が最近のアプリケーションゲームの質の低下と初めから追加コンテンツを前提としたサービス提供の在り方に苦言を呈していた姿が印象的だった。

彼は私とそう年も変わらないように見えた。

アッシュグレーの髪をセンター分けにした実業家風の青年。

もうたぶん会うこともないけれど、ピシッと伸びた背筋と、アンニュイな垂れ目の中の星屑みたいな強い輝きが妙に心を打った。
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