混沌
「普通にゲームとかするの、友達に知られたくなかったんで」

「どうして」

どうして? 

そんなの、

「恥ずかしいからに決まってるじゃないですか」

すると青年は少し驚いたような表情をしてから、すかさず言った。

「恥ずかしい? 君はこのゲームが好きなんじゃないのか? 好きなことが恥ずかしいことなのか」

「もう、いいです」

私は痺れを切らしてその場から立ち去った。

図星だった。

だから余計にムカついた。

あなたのまっすぐな目と、理解不能と言った視線、そしてあなたには到底なれない私のみみっちい性格に。


あの青年とのことがあってから一週間。

また商法の講義で、彼の顔を見るのが億劫だっと思っていたが、考えてみればこの講義は100人近くの学生が受けているわけで、私が彼のことを目で追わなければいいだけの話だった。

私って阿呆??

「ブッキー、今日、お茶して行くっしょ?」

「そうだね」

荷物をまとめて、立ち上がる。

そして、あ、っと思った時には遅かった。

「……ちょっと、話があるんだが」

あの星屑みたいな目に私はもう飲まれていた。
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