冷徹魔王な御曹司は契約妻への燃え上がる愛を手加減しない【極上スパダリ兄弟シリーズ】
 まだ就任して三カ月しか経っていないけど、彼はマレーシア最大の財閥と資本提携して合弁会社を設立。他にも近い将来を見据えて、自動運転実用化に向けて国とのプロジェクトを立ち上げるなど、精力的に仕事をしている。
「藤井さんにしては今日遅いね」
 上杉さんがにこやかにそんな話をしてきて、思わず苦笑いした。
 副社長秘書の彼は上杉秋人といって、社内の二番人気だ。年は三十三歳。さらりとした黒髪で、センター分け。背が高く韓流アイドルのような容姿をした彼は、誰もが認める敏腕秘書だが穏やかな性格で、以前は社長秘書をしていた。
「ハハハ。昨夜寝るのが遅くなりまして……」
 副業は禁止なのにアルバイトをしているとは言えない。いつもは三十分早く出勤しているのだけれど、今日は疲れが溜まっていたせいか起きられなかった。
 苦笑いしながら返したら、どっと人が押し寄せてきて、副社長にドンとぶつかった。
「キャッ、すみません」
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