この恋、正解でしょうか?




 あんなに一緒にいたのに奏くんの部屋に来るのは初めてだった。

 セレナ棟とは違って内装はシックな感じのヘリオ棟。

 奏くんの部屋は確か4110号室。
 行く機会はなかったけど、一応って合鍵はもらっていた。


 勝手に鍵を開けて奏くんの部屋に入る。
 ドアを開けた途端に奏くんの匂いでいっぱいで、抱きしめられているような気分になった。

 やっぱり奏くんのこと大好きなんだな私。



「お邪魔しまーす……。」

「鳴海…、来てくれたんだ。来ないかななんて思ってた。」



 来ないわけなんかないじゃん。
 こんなに大好きなのに、あんなに頑張っても忘れられなかったのに。



「もちろん、くるよ。奏くんのお願いなんだから。」

「そっか……。ごめん、合鍵返すね。」

「え?」

「僕のお願いでここまで来てもらったんだから、鳴海もなんか1個僕にお願いしていいよ。」



 そんなこと言われたって。
 急に受け入れることなんてできない。



「なんで急に突き放すようなこと言うの?」

「ごめん、ごめん鳴海。」



 そんなことを言いながら今にも泣きそうな顔をする奏くん。
< 24 / 32 >

この作品をシェア

pagetop