この恋、正解でしょうか?
5小節目
3月1日
3月1日土曜日。
今日は高校の卒業式。
「高校生活も早かったね〜なる。」
「だね。まあ私たちは大学も内部だし、学科も一緒だし。お別れ感はないね。」
「このまま就職先も一緒になっちゃったりして。」
「あるかも。」
そんなことで花梨と笑い合っていたら。
「ただいまより都立西翔学園高等部、卒業証書授与式を始めます。」
学園長式辞に授与式、在校生の送辞。
そうして、卒業生答辞。
「卒業生代表、芸術科首席桜庭奏。」
もちろん、卒業生首席は奏くんだった。
今日で奏くんと会うことも2度とないのだろう。
そんなことを考えていたら、涙が出ていた。
その涙も全く止まらず、溢れていくばかり。
「やわらかな暖かい日差しに、春を感じる季節となりました。本日は私たちにためにこのような式を開いて頂きありがとうございます。
この3年間、自由な学びの環境を作ってくださった教員の皆様、保護者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。僕の高校生活は決して真面目だったとは言えませんでしたし、たくさんの友人ができたわけではありませんでした。ですが、そんな僕を大切に思ってくれる唯一の人にこの学園で出会うことができました。そしてこの自由という学園の校風をお借りしてこの場で僕の大切な人へ1言伝えさせてください。」
それって、もしかして……。