この恋、正解でしょうか?




 外に奏くんは全然いなくって、ふと思いついた美術科の校舎にある保健室に向かった。

 卒業式が終わってしばらく経っているからか、校舎内に人はいなくて、皆、今月末に退去する自分の部屋へと帰っている様子だった。

 保健室のドアを開けると、空いているはずのない窓が空いていて、カーテンが揺れていて。

 右側のベットの締め切るためのカーテンは締まっていた。



「奏くん?」



 ベットのカーテンを開けるのがどうしても緊張してできなくて。
 私は、カーテン越しに奏くんの名前を呼んだ。



「奏くん?いる?」



 カーテンを開けようとすると、ふわっと急に抱きしめられた。

カーテン越しだけどわかってしまう。これは奏くんの腕だ。



「奏くん…奏くん……。会いたかったんだよ…私、奏くんがいないと幸せになれないんだよ…?大好きなの…。」

「なんで…あんなに突き放したのに…。僕のこと、まだ好きでいてくれるの?」



 少しだけ声が震えてる…。
 泣いてるのかな?それとも緊張してるだけ?
< 29 / 32 >

この作品をシェア

pagetop