私はもうあなたの婚約者ではないのですが???今日も何故かプロポーズされます。
その日はパパとママと一緒に大きなシャンデリアのあるお家にお呼ばれしていた。
お姫様のようなドレスも着れてお城の舞踏会に呼ばれたシンデレラみたいと思っていた。
そこにはとにかく多くの大人が集まっていた。

パパの友達への挨拶は遊ぶこともできないし「つまらないな」と思っていた。
その時、少し離れたところに同い年くらいの男の子を見つけた。
大人だらけの中、子どもがいるのは珍しかったのでぽーっと眺めていた。
それに気が付いたパパは『あぁ』というと私の隣にしゃがみ込んで、言った。

『そうだ、ありあ。あそこにいる男の子がね、君の婚約者だよ』

『こん…やくしゃ?』

『そうか、わからないよな…婚約者っていうのはね…』

その時、どこからかパパを呼ぶ声が聞こえた。
どうやらパパが”スピーチ”というものをするらしい。

『ありあ、ママのところへ行っていなさい』

『え…うん…』

”婚約者”というものがわからずパパは行ってしまった。
ママに聞けばわかるだろうか?



そして、”婚約者”であるあの子のことを知ってから、
遠くにいるのに気になって思わず見てしまう。

誰かと話していたあの子がくるっとこっちに向いた。
目と目が合って、胸がドキッとした。

慌ててママの後ろに隠れて、ドレスの裾をぎゅっと握りしめる。

『ママ…』

『どうしたの?私の後ろに隠れて』

『なんだか…えっと…どうしてかわからない…』

『ふふ…ありあったら照れているのね』

こんな気持ちは初めてで、なんだかそわそわする。
とにかくあの子のことは見れそうになかった。

『!マ、ママ…な、こ、こっちに…く、くる!』

遠くでこちらを見ていた”婚約者”が
だんだんと近づいてくる。

『こんばんは!』

彼は私の目の前で立ち止まるとペコッとお辞儀をした。
ガラス玉のようにキラキラした目でこっちをじっと見ている。

『こんばんは…』

私の声は今にも消え入りそうなほど小さかった。
なんだがくすぐったくて、思わず目を逸らしてしまう。

『…どうして隠れているの?』

『…えっと…その…』

『ねぇ、ちょっとこっちに来てみてよ!見てほしいものがあるんだ』

そういうと私の腕をグイっと引っ張り、どこかへ私を連れていこうとした。
何が何だかわからず、とにかくついていくしかなかった。
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