腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~
「妹さんが一昨日、事故で運ばれてきたんです。傍で世話をしたいと思うのは、普通のことではありませんか? 師長だって、お子さんが運ばれてきたら、付きっきりで世話をしたいと願い出ると思います」
「それは……」
ここでようやく、私が一ノ瀬琴美の妹の栞であることを認識したようだった。
「琴美も、いえ一ノ瀬さんも同じなんですよ。しかも、二人だけの姉妹。余計に心配だと思うのは当然かと。けれど師長は、それすらもダメだと仰りたいのですか?」
「そ、そんなことは言っていません」
「でしたら、多めに見てあげてください。今回は術後の初めての散歩ですから、担当医の僕も付き添わせてもらっているんですよ」
さすがは坊っちゃん。伊達に日々、嫌味や妬みに晒されて生きていない。
華麗に躱しつつ、攻撃する手を緩めないなんて、姉でなくても惚れ惚れしてしまいそうになった。加えて顔もいい。
師長はバツが悪くなったのか、「私は仕事がありますので」と早々に、私たちが出てきた大扉を潜って中へと入っていった。
「それは……」
ここでようやく、私が一ノ瀬琴美の妹の栞であることを認識したようだった。
「琴美も、いえ一ノ瀬さんも同じなんですよ。しかも、二人だけの姉妹。余計に心配だと思うのは当然かと。けれど師長は、それすらもダメだと仰りたいのですか?」
「そ、そんなことは言っていません」
「でしたら、多めに見てあげてください。今回は術後の初めての散歩ですから、担当医の僕も付き添わせてもらっているんですよ」
さすがは坊っちゃん。伊達に日々、嫌味や妬みに晒されて生きていない。
華麗に躱しつつ、攻撃する手を緩めないなんて、姉でなくても惚れ惚れしてしまいそうになった。加えて顔もいい。
師長はバツが悪くなったのか、「私は仕事がありますので」と早々に、私たちが出てきた大扉を潜って中へと入っていった。