誘惑しないで、羽瀬くん。
「熱、引かないね」
「こういうの慣れてないんだもん……」
「そうなんだ?」
「………そーだよ」
ふいっと顔を逸らしたら、指先で優しく輪郭をなぞられて、そのまま離れていった。
呪縛から解放されて少しだけほっとする。
手慣れすぎてて怖いのに、まんまと落ちていってる自分が情けない。
……頭の中、クラクラしてきた。
「羽瀬くんって、いつも女の子にこういうことするの?」
「川名さんにしかしないよ」
「な、なんで?」
「可愛いから」