誘惑しないで、羽瀬くん。
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ぱしゃりと水たまりを踏んだ。
靴下にじわりと染みてちょっとだけ居心地が悪い。
けれど、そんな些細なことよりもバクバクと暴れ回る自分の鼓動の方が、よっぽど気になってしょうがなかった。
………羽瀬くんと相合傘。
心の中で呟いたら息が止まりそうになった。
だって、“あの”羽瀬くんと2人きりで帰る………とか、妄想の世界でもありえないって思うもん。
傘に入れてほしいと言われた後、なんて返事をしたのか覚えていない。
気がついたら同じ傘の下に羽瀬くんがいて、私はその隣を歩いていた。
時折肩が触れる度、口から心臓が飛び出てしまいそう。
とりあえず動揺してるのバレないように深呼吸を………。
「なんか喋ってよ。気まずいんだけど」
「ひぇっ!?」