ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
自分が瀬戸山に対して抱いている感情がなんなのかはわからない。
キスをするたびに胸が苦しいのに、唇が離れていくと切なくて、また欲しくなる。
縋りつくように彼の服をキュッと掴んだら、瀬戸山が熱い吐息をこぼした。
「苑香……俺につかまれ」
「えっ? きゃあっ……!」
いきなり椅子から抱き上げられ、お姫様抱っこの体勢になる。
とっさに彼の首にしがみつくと、瀬戸山は大股でリビングの方へ向かい、広々としたソファに私を下ろした。
上半身を起こそうとしたものの、即座に覆いかぶさってきた彼に組み敷かれてしまう。
頬を両手で包み込まれながら、またキスを仕掛けられる。唇の隙間から割り入った舌が、私の口内を隅々まで味わい始めた。
「んっ……瀬戸山、さん……」
「その色気のない呼び方、そろそろやめろ。統でいい」
唾液で濡れた薄い唇が、ぞくりとするほど煽情的な声で言う。私は肩で息をしながら、獣のように鋭く細められた彼の目を見つめた。