ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
「統、さん……?」
「〝さん〟もいらない。というか、あれだけライバル心を剥き出しにしていたきみのことだ。心の中ではとっくに、俺を呼び捨てしていたんじゃないか?」
な、なんでばれてるの……!
完全に図星だったので、ぎくりとする。しかも憎々し気にフルネームで呼び捨てすることも多かったから気まずい。
「そ、そんなわけないじゃないですか。あなたの方がふたつも年上ですし」
「本当か? まぁいい。こういう仲になったら、年上も年下も関係ない。これからは、敬語もいらないから」
瀬戸山はフッと笑って、私の唇を軽く啄む。
軽く唇を挟んだり音を立てて吸ったり、その甘い感触と弾けるリップ音にドキドキしているうちに、またキスが深くなっていく。
彼の言う〝こういう仲〟って、具体的にどういう関係を言うんだろう。
普通に考えれば、恋人? それとも、こういう触れ合いをしたいだけの相手?
それとも結婚のことまで、やっぱり本気なのだろうか……。
彼との関係が一歩進展した自覚はあるものの、恋愛に臆病な自分は簡単には治らない。