ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
彼はそのまま耳たぶや首筋に唇を這わせ、熱い吐息をこぼしながら、手のひらで私の体のラインをなぞり始める。
服の上から触れられただけでもぞくぞくして、心臓が口から飛び出しそうだ。
「ん、待って……」
「待ってほしいならもっとそれらしく言ってくれ。そんなに物欲しそうな目をされると止まれなくなる」
呼吸を荒らげた彼が、噛みつくようなキスで私の唇を塞ぐ。
どうしよう……。このまま、流されてしまっていいの……?
心に生まれる迷いとは裏腹に、体は甘い微熱に侵されていく。
統の手がワンピースの裾から忍び込み、私の脚をゆっくりと撫で始める。拒もうとしても、統のくれるキスが気持ちよすぎて体に力が入らない。
こんなにも甘く蕩かされてしまう経験は初めてだ。
もしかして私、統のこと本当に――。
彼にすべてを許しそうになっていたその時、ダイニングの方からスマホの着信音が聞こえた。統はぴたりと動きを止め、私も少し正気を取り戻す。
聞き覚えのない音なので、たぶん彼のスマホだろう。
「電話、鳴ってるよ……」
「……ああ。聞こえてる」
ほんの数秒、ぐっと何かをこらえるように目を閉じた統は、最後にふうっと息を吐き出してソファから下りる。
未だに高鳴る心臓をなだめるように、私も体を起こした。