ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
「今日の芸能ニュース見てない?」
「う、うん……見てないけど」
「ちょっと、女優さんたちと遊びすぎたのバレちゃって、それが今日発売の週刊誌に載ったんだ。もう俺、完全にワルモノ」
「遊びすぎたって……どの程度?」
芸能界にそれほど詳しいわけではないけれど、女性関係で解雇されるというのはあまり聞いたことがない。
暴力や薬物など、違法なことに手を染めたならわかるけれど。
「わりと人気の女優さんたち、五人同時に手を出してたんだ。その中に既婚者もいてさ」
……想像のはるか上を行く下衆っぷりに絶句する。
だいいち、彼にはお付き合いしている年上の女性がいたはずではなかったか。
「私と別れた時に付き合っていた人はどうしたの?」
「あー、その人はセフレ。時々お小遣いもくれるいい人だったんだけど、段々俺を束縛するようになってきたから、うざくなって別れた」
ちょっと待って。束縛するようになったから、うざくなってって……。私を振った理由とまったく逆じゃない。
しかも、彼女との関係はセフレ。遼太くんが次の恋人と幸せになれますようにと願った私はなんだったんだろう。
今さら怒る気にもなれず、ただ脱力する。