ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~

「あ、あの……苑香さんと、どういうご関係で……?」

 上擦った声で遼太くんが尋ねた。

「すでに彼女と別れている無関係な人間に説明する道理はない」

 冷徹とも感じるほどの返答だった。

 遼太くんはすっかり戦意喪失したようで、「そ、そうですね」と気弱な声を出している。

「昨年、きみをイメージキャラクターに使用してしまったのは瀬戸山園にとって痛恨の極みだ。たった一度のブレイクで天狗になり、女性にチヤホヤされるたびにそのみっともない鼻を伸ばし続けた結果がこれだ。当時の自分の判断を呪うよ」

 遼太くんの素行不良は、今に始まったことじゃなかったの……?

 彼が瀬戸山園のイメージキャラクターになった頃から問題視されていたなら、交際中も私の知らないところで遊んでいたのかもしれない。

 そういえば、私の元恋人が遼太くんだと知った統は『男を見る目がなさすぎる』と言っていた。

 理由は教えてくれなかったけれど、それが女性関係のことだったなら、失恋したばかりの私を傷つけまいと黙っていたのも頷ける。

 ……こう見えて、優しい人だから。

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