ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
臆病な私の心に自信を与えてくれるような、力強い言葉。どこまでもまっすぐな統の想いに、胸が熱く震える。
……彼の気持ちに応えて両想いになれたらどんなに幸せだろう。
考えないようにしていた彼との未来に、ひと筋の光が差す気がした。
「……ありがとう。ゆっくり、自分の気持ちと向き合ってみる」
「ああ。なにかあったら連絡して。中路のこともまだ心配だし、苑香に呼び出されればどこへでも飛んでいく」
忙しい彼にそんなこと無理だろうと思う反面、統なら本当に駆けつけてくれそうな気もした。
彼の気持ちをそれほど信じているのだ。自分の心境の変化に少し驚いた。
統が出て行き部屋にひとりきりになると、遼太くんが突然訪問してきた恐怖よりも、統からの告白に心が乱されているのを感じた。
ソワソワする心を落ち着かせようとソファでクッションを抱いてみるが、激しく波打つ鼓動は止まない。
そのまま横になって目を閉じると、まぶたの裏に浮かぶのは統の顔ばかりだった。
もう、自分の気持ちをごまかすのも限界なのかもしれない……。
抱きしめたクッションに顔を埋めた私は、体の内にこもった甘い熱を吐き出すように、はぁっと息をついた。