ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
しかし、だったら余計に俺は彼女のそばにいたい。
頑張る彼女を一番そばで応援しながら自分自身も力をもらって、疲れた時には互いを癒やし、支え合えるような関係に……俺たちなら必ずなれると思うから。
ただ、少し距離を置く時間が必要だと思った俺は、苑香に再び接触するタイミングを悩みながら忙しい日々を過ごしていた。
そうしているうちに二週間が過ぎ、再び正直な気持ちを苑香に伝えようと、決心が固まってくる。
迷惑がられる可能性も考えなかったわけじゃないが、彼女とデートしたあの日、俺を見つめる苑香の瞳に熱が宿っていたのは気のせいではない。
お互いの年齢や仕事、身分、そしてこれまでの恋愛経験。
たくさんの不安が彼女の中で複雑に絡み合い、まっすぐに感情をぶつけられずにがんじがらめになっているだけなのだ。
そんなもの、俺が全部ほどいて楽にしてやるから――。
仕事の後、今夜会えるか確認しようとスマホを手に取った時、通知欄に届いていたニュースの見出しに気になる記述を見つける。
【スクープ! 若手俳優中路遼太、泥沼五股恋愛で事務所解雇】
……あのバカ、懲りないな。