ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
初恋の人と花束
統が実家に帰った翌朝、スマホのアラームを止めた時に彼からメッセージが来ていることに気づいた。
受信したのは深夜だったので私が眠った後に届いたのだろう。
【あれから大丈夫だったか? 美吉ブロッサムの売り上げに貢献できなくて悪いが、あの装花はすべてキャンセルだ】
寝起きでぼんやりしていた頭が一気に覚醒する。上半身を起こし、繰り返しそのメッセージを目で追った。
装花をキャンセルするということは、つまり……蘭子さんとは結婚しなくてよくなったってこと?
一番大切なその話には触れられておらず、ついやきもきする。
【あの後は何事もなかったから心配しないで。装花のことは営業部に私から話しておく】
そう返信を打ち、トン、と送信マークに触れる。
本当は聞きたいことがたくさんあるのに、どうやって切り出したらいいのかわからない。
まごまごしているうちに既読がついたが、統から補足説明をしてくれる気配はなかった。
蘭子さんのことは説得できたけれど、お父様が首を縦に振らないとか?
どちらにしろ、まだ私を迎えにこれる状況ではないってことか……。
少しがっかりして、ベッドの上で抱えた膝にこつんと額をぶつける。