ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
昨夜、統が遼太くんから私を守ってくれた時、私は心底ほっとした。
彼の前では強がることも忘れ、ひとりになるのが心細いと正直に伝えてしまった。
遼太くんにフラれてもう恋はしないと決めたあの日から、ひとりで生きて行けるようにならなくちゃ、誰にも甘えず生きて行かなくちゃと、これまで以上に自分に言い聞かせていたはずだったのに。
そんな私を統がいつも〝意地っ張り〟と笑って心の内を見透かすから、すごく悔しい反面、自然と心を許していたのだ。
ライバルという言葉でずっと自分をごまかしていたけれど、彼の存在はとっくにそれ以上になっていた。
私……統のことが、好きだ。
――と、恋心を自覚したとはいえ、彼からの追加連絡があるまでは浮かれ気分というわけにもいかない。
統を信じていないわけではないけれど、特殊な家柄の彼とあっさり幸せになれるとも思えず、なんとなく重たい気持ちを抱えたまま日々が過ぎていった。