ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~

 気を取り直すように言ったカンナだけれど、ますます私は意気消沈する。

 統と蘭子さんの政略結婚は頓挫しそうであり、その原因が私の存在であることは、カンナにも話していた。

 一時は私が統に遊ばれているのではと心配していたカンナも、『瀬戸山園の御曹司、意外とやるじゃない!』と、統に対する株を上げたようだった。

「それについては私も無関係ではないから本当に社員たちに申し訳ない……」
「彼に愛されている証拠じゃない。元々決まっていた縁談をきっぱり断るなんて、簡単にできることじゃないだろうし」
「……そうなのかな。もう一週間連絡がないから、これまでの全部が盛大なドッキリだったらどうしようって不安になってきてるんだけど」

 統はもともと忙しい人だし、仕事に加えて政略結婚の後始末もあるとなれば、簡単に私を迎えに来ることができないのは想像がつく。

 だけどその裏で、このまま一生放置されたらどうしよう……なんて。臆病な自分がまた顔を出し、統を信じようとする私に揺さぶりをかけてくるのだ。

「考えすぎよ。きっとそろそろ連絡しようと思ってるところじゃない?」
「そうかな……うん、そうだよね……」

< 189 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop