ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
「女性って、結婚や出産で生活がガラッと変わっちゃうタイミングがどうしてもあるから、ずっと同じように仕事をしていくって難しいじゃない? でも、だからこそ周囲との話し合いが大切で、リアルな現状を伝え合って臨機応変に仕事のスタイルを変えて行かなきゃいけない。そういう意味でも、カンナ私の結婚について心配してくれた気持ちはよくわかる。だから、もし私が結婚をきっかけに中途半端な仕事するようだったら遠慮なく指摘してね。私たち、親友っていうか戦友だもん。今さらそんなことで崩れる関係じゃないでしょ?」
「ええ。もちろんよ」
瞬きで涙を散らし深く頷いたカンナは、いつもの頼もしい彼女だった。
女同士の友情って難しい。
三十年も生きていれば嫌でもわかる事実だけれど、私とカンナの間にあるそれは、お互いの人生のステージが変わるにつれ形を変えることはあっても、絶対に切れることはない。
そう確信しながら、再び彼女と並んで廊下を歩きだした。