ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
統からの連絡がないまま平日が過ぎ、寂しさを募らせていた日曜日の昼下がり。
朝からのんびり家事やサンルームの植物たちの世話をしていたら、リビングのテレビからドキッとするBGMが聞こえてくる。
『あなたの疲れ、僕が癒やしてあげる』
思わずリビングに移動すると、流れているのは例のカイロのCMだった。
しかし、画面に映っているのは遼太くんではない。彼のCMは例のスキャンダルでお蔵入りになってしまったので、出演しているのはまた別の若手俳優。
CMの演出は変わっているものの、決め台詞だけは同じようだ。
「この子もかわいい顔してなに考えてるかわかんないわよね……」
誰にともなく呟いた自分の声がちょっと自分の母親っぽくて、ショックを受ける。
テレビに向かって文句言うなんて、老けた証拠?
……でも、統は前に言ってくれた。
『四十になっても五十になっても、きみは綺麗だと思う』
あのセリフ、本当はうれしかったしドキドキもしたんだよね。
でも、本当に四十も五十も彼と一緒に迎えられるのだろうか。私の気持ちはもう固まっているけれど、彼の方は……。
切なさにふっと目を伏せたその時、インターホンが鳴る。