ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~

「こんなに素敵なサプライズを用意してくれるスパダリ、逃しちゃダメだよ?」

 反対の肩を叩いたのは妹だ。スパダリって、統のこと……?

「帰ったら、仏壇のじいさんばあさんに報告するよ。苑香のやつ、立派な花屋になっただけでなく、これから綺麗な花嫁にもなるんだって」
「は、花嫁って……ちょっと、あの、みんな」

 久々に統とふたりきりで対面することに怖気づいて、なんとなく家族を引き留めたくなる。

 しかし、三人はニコニコと手を振るばかりで、乗ってきたタクシーに戻ると、さっさと車を出して店の前を離れてしまった。

 タクシーが見えなくなると、緊張気味にまた店の方へと体を向ける。

 ガラスのドアから出てきた統が、私の目の前に立つ。

「どう? 昔の美吉ブロッサム、ちゃんと再現できてるか?」
「これ、あなたが全部……?」
「そう。瀬戸山園とは関係なく、俺の個人的な買い物。外観のリフォームを見に来た時、通りすがりの男性に『次は何の店になるんですか?』と聞かれて、美吉ブロッサムという花屋だと言ったらすごく驚いていて、話を聞いてみたら苑香のお父さんだったから俺まで驚いたよ。そこで自己紹介をして、今日のことに協力してもらった」

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