ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~

「あの日から、向日葵みたいなきみの笑顔がずっと俺の心を照らしてる。でもこれからは、俺自身がきみに笑顔を与える太陽になりたいんだ。結婚しよう、苑香」

 ……だから向日葵を選んでくれたんだ。

 バラでも向日葵でも、ちょうど十二本の贈るのは、ダズンフラワー(一ダースの花)とも呼ばれるプロポーズの定番。

 一本一本の花に【感謝・誠実・幸福・信頼・希望・愛情・情熱・真実・尊敬・栄光・努力・永遠】の意味が込められ、愛を伝えるのにぴったりだからだ。

「ありがとう、統。あなたはそうやっていつもまっすぐ気持ちを伝えてくれるのに、私は自分の気持ちをごまかしてばかりでごめんなさい。……でも、もう迷わない」

 思い出の紫陽花をメインに、統をイメージして作った青系の花束を彼の方へ差し出す。

 アクセントに使った三本の赤いバラは、私の真剣な気持ちだ。

「あなたのことが好き。この先もずっと、一緒にいたい」

 言葉にすると、ますます気持ちが溢れて胸が詰まった。

 もっと早く素直になればよかった。そんな後悔も含めて、これからは惜しげなく彼に愛情を注ぎたい。

「苑香……ありがとう。これまでもこれからも、きみを愛してる」

 愛おしげに目を細めた彼が、私の頬に触れてそっと顔を引き上げる。

 かぐわしい花の香りの中で目を閉じると、統の唇がふわりと重なった。あまりの幸福に息が止まってしまいそうだ。

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