ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
「花束でこんなに喜んでくれるなら、最初から指輪じゃなくてこっちにすればよかったな」
息のかかる距離で見つめ合いながら、統が苦笑する。
「あの指輪、捨てちゃった?」
「そんなわけないだろ。家にある。あれは苑香のものだ。そして、指輪を嵌めたきみは俺のもの」
統は独占欲たっぷりのセリフを放ち、私の唇にまた一度、軽く口づけする。
なんとなくだけど、相思相愛になった途端、統の甘さが激増している気がする……。
「そういうわけだから、今から俺のマンションにきみを連れ帰る。もちろん、指輪を渡すだけで済むと思うなよ」
「あ、あの、それって……」
心の準備が必要なことなので、曖昧な言い方に不安を覚えて問いかける。
少し前まで遼太くんという恋人がいたが、終わりの頃はほとんど甘い時間を共有していなかったので、そういう事態になるのは久しぶりなのだ。
統は赤いであろう私の頬を指先ですりっと撫で、それから耳元に唇を移動させた。
「……苑香を抱きたい。ベッドの中ではどんなふうに咲くのか、俺にじっくり見せて」
吐息交じりの低い声が色っぽすぎて、全身がかぁっと熱くなった。恥ずかしいけれど、私の体の奥も疼いている。大好きな彼をもっと近くに感じたいと。