ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~

「……わかった。でも、これを包んでからにしよう?」
「そうだな。せっかくの花束だ、綺麗に完成させよう」

 それから店の奥の作業台にふたりで並び、一緒にラッピングを仕上げる。

 統は私と違って花屋の店舗で勤務した経験はないそうだけれど、元々手先が器用なのか、オフホワイトとミントブルーの不織布を使って、爽やかな向日葵の花束を作ってくれた。

 店内に残った他の花をどうするのか尋ねたら、それぞれきちんと行き先が決まっているらしい。

 店を出る前に統が部下に連絡し、花の回収を頼んでいた。

「プライベートの後始末を部下にさせていいの?」

 彼の車が止めてあるというパーキングに向かいながら尋ねる。隣を歩く統は、少し気まずそうに笑った。

「いいんだ。半分はプライベートじゃなかったから」
「半分? どういうこと?」

 この店を買ったことは会社とは関係ないと言っていたし、プロポーズなんて極めて個人的なイベントだ。

 仕事の話もいっさい出なかったし。

「実を言うと今日、プロポーズの他に、苑香に会社の合併話を持ち掛けようとしていた」
「が、合併……!? 瀬戸山園と美吉ブロッサムの?」

 驚きすぎて、思わず大声が出しまう。彼がそんなことを考えていたなんて全然知らなかった。

 蘭子さんに言われたことって、あながち間違いではなかったの……?

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