ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
「みんな、ありがとね。目標は高く、打倒瀬戸山園で行こう!」
三人の顔を見渡し、決意を新たに告げる。彼らもそろって頷いてくれた。
「それにしても羨ましいです、苑香さんと瀬戸山さんの関係。敵同士なのに愛し合ってるなんて、なんかロマンチック~」
右原さんが冷やかすように言うので照れてしまう。
そんな彼女の隣では、左木くんが顎に手を当てて難しい顔をしていた。
「それに比べて、右大臣と左大臣ではロマンチックとは程遠いな……」
「ちょ、ちょっと左木……! こんなところでなに言ってるの……!」
右原さんが小声で彼を窘める。その頬がほんのり赤く染まっているのを見て、私とカンナは目を見合わせた。
「えっ? もしかしてふたりって……」
「ええ、お付き合いしています。仕事がやりにくくなるからと、彼女に口止めされていましたが……」
「だから、なんで言っちゃうのってば!」
左木くんはいつものように飄々としているが、右原さんは完全に困り果てている。
学生時代からかわいがってきた後輩がカップルになったと知って、私は無条件に嬉しくなった。