ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~

「心配かけてごめんね。実は、こないだ苑香と話してからちょっと行動を起こし始めたんだ。友達に独身でいてほしいと思うなんて、やっぱり健康な思考とはいえないよなぁって反省してさ。ひとりでも生きていけると思っていた裏で、本当は誰より結婚したかったのかもって思ったら、自分の中ですっごく腑に落ちて」

 苦笑するカンナだけど、やっぱり彼女と私は考え方が似ているなと思った。

 私も、恋はしないって頑なに統を拒んでいた時はやっぱり思考が凝り固まっていて、素直になったら途端に楽になったから。

「そうだったんだ。カンナがすっきりしたならよかったよ」
「ありがとう。こないださっそく婚活パーティーに参加してみたの。年齢制限とかもない、気軽なやつ。……実はそこで、ちょっと気になる男性に出会って」

 カンナの声が、珍しく自信なさげに小さくなる。

 いつもはきりっとしている横顔が珍しく不安げで、結構その男性に本気なのかもと、勝手に私までドキドキする。

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