ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
「苑香さん、めっちゃ綺麗です……!」
「本当ね。きっとこのブーケもよく似合うわ」
控室を訪れたのは、右原さんとカンナだ。
自身ありげに微笑んだカンナが、右原さんが抱えている段ボールを開封する。
緩衝材の中から出てきたのは、ミモザやカラー、マーガレットを合わせた春らしい黄色系のウエディングブーケ。
カンナの手から受け取ったそれを持って全身が映る鏡の前に立つと、右原さんが「わぁ……」と声を上げる。
ロングトレーンのシルエットが美しいシルクのAラインドレスを、ブーケの明るい色が華やかに引き立たせてくれていた。
「とっても素敵なブーケ。ふたりともありがとう」
「こちらこそ、旦那様に無理言って、私たちにブーケを用意させてくれてありがとう。我らがボスの大事な結婚式、どうしても特別なお祝いをしたかったの。喜んでくれて私たちもうれしい」
いつだって苦楽を共にしてきた仲間からの粋なプレゼントに、さっそく目頭が熱くなってしまう。
カンナももらい泣きしたかのように目を赤くし、「やだ、もう……」と苦笑しながら、ハンカチを目元にあてた。