ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
実はカンナも式こそ挙げていないものの、想い人だった彼と私より先に結婚し、新婚生活真っただ中。
旦那様はカンナの仕事にも理解があり、美吉ブロッサムのことも応援してくれているそうだ。
「お揃いのブートニアは左木がしっかり新郎のもとに届けてますから安心してくださいね」
右原さんがそう言って、頼もしく親指を立てる。
ブートニアというのは、新郎の胸元に飾る小さな花のこと。
その起源は、プロポーズの時に男性が女性にプレゼントした花束の中から、女性が気持ちに応える意味で一輪の花を抜いて男性の左胸のボタンホールに挿すという風習だったそう。
今ではポケットに差すのが一般的で、花嫁のブーケと対になっているペア感を含め、衣装の一環として人気が高まっている。
タキシードの胸元に花を飾った統はいつも以上にカッコいいだろうと、私も今からドキドキ対面を待っている。
「ありがとう。後で左木くんにもお礼を言わなきゃ」
ちなみに右原さんと左木くんも順調に交際を続けていて、いずれは結婚しようという話も出ているみたいだ。
具体的なことはまだ未定でも、右大臣と左大臣というお気に入りの呼び名が変わらないよう、職場では絶対別姓を使うということだけ意見が一致しているらしい。