ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
直線的な眉、羨ましいくらいに長い睫毛、小ぶりで尖った鼻、綺麗な輪郭の薄い唇……よく見ると右目の二重まぶたのところにちょうどほくろがあって、なんだか色っぽい。
「……できれば、料理を見てほしいんだけど」
気づけば、瀬戸山が意地悪く口角を上げて私を見ていた。
途端にかぁっと頬が熱くなる。
「あっ、いや、今のは決して見惚れたとかではなく……!」
なにを言ってるの苑香! 完全に墓穴を掘ってるって!
「選び終わったら好きなだけ見ていいぞ」
「え、遠慮します……!」
好きなだけ見ていいって……完全に自分の容姿に自信がある人のセリフだ。
もう、やっぱり憎たらしい男……!
せめてもの腹いせにと高い料理ばかりを選んでみたが、御曹司である彼の経済事情に影響を及ぼすわけもなく、涼しい顔で「どれもうまそうだな」と言われただけだった。
午後六時頃料理が届くと、シャンパンを開けて乾杯した。
カウンターでは落ち着かないのでリビングのソファに移動し、楕円のローテーブルに料理とグラスを並べた。
イタリアンレストランで注文したサラダやローストビーフ、トマトソースのフェットチーネは、どれも色鮮やか。食べてみると味も美味しかった。