ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~

「ありがとうございます」

 話をはぐらかされた不満も薄れ、笑みがこぼれる。やっぱり自社の花を褒められるのが一番うれしい。

「花って生き物ですから鮮度管理が大変ですよね。どんなに頑張っても、きれいなまま保てるのは数日。一番いい時に買ってもらえればいいけれど、売れ残ったら廃棄になってしまう。あのドライフラワーも、フラワーロスを減らそうとして始めた取り組みです」
「花屋業界にとって、無視できない問題だよな。うちの社でも様々な対策をしているが、まだやれることはあると感じている」
「瀬戸山園のサブスクも、その一環ですよね? あれ、すごくいいと思います。週イチから月イチまで選べて、値段も手ごろで」

 定期的に消費者の元へ花を届けるサブスクリプションサービスは、フラワーロス対策として業界内でだいぶメジャーになってきた。

 新しいビジネスの形としてベンチャー企業なども参入しているが、花の扱いに長けている老舗の瀬戸山園は、切り花の保水処理などもしっかりしていると、他より評判がいい。

「褒めてもらってなんだが、美吉ブロッサムはそこまで手を広げようとするなよ。新しいサービスに割ける人員も資金もないだろうし」
「ぐっ……わかっています」

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