ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~
エディブルフラワーと婚約指輪
頭が重い。飲みすぎたせいだ。
眠りからは覚めているのになかなかまぶたを開けられず、ごろんと寝返りを打つ。
そこで、昨夜ずっと一緒にいた瀬戸山のことをようやく思い出した。
「朝ごはん……!」
口に出して、ガバッと上体を起こす。隣にいたはずの彼は、もうそこにはいなかった。
寝室をキョロキョロ見回しながら、昨夜のやり取りを思い出す。
『ベッド? いいよ、俺はソファで』
『ダメです、お客さんなのに』
交代でシャワーを浴びた後、リビングのソファで横になろうとしていた彼を、寝室まで引っ張っていった。
そして予定通りベッドに寝てもらい、さて私はソファで寝よう、と体の向きを変えようとした瞬間。今度は私の方が彼に腕を引っ張られ、ベッドに倒れ込んだ。
至近距離に瀬戸山の顔があって、目を白黒させる。
『きみだってソファじゃゆっくり休めないだろ。手を出さないと約束するから隣で寝ろよ』
『いえ、でも……っ』
『それと、言いそびれてたけど』
瀬戸山の手が私の頬にかかっていた髪をスルッと耳にかけ、くすぐったさに肩を竦めたと同時にまっすぐな瞳に射貫かれた。