ライバル企業の御曹司が夫に立候補してきます~全力拒否するはずが、一途な溺愛に陥落しました~

 壁のモニター付きインターホンで応答しようとして、動きを止める。

 カメラに映っていたのは、私服姿の瀬戸山統だった。

「な、なんで……」

 動揺して一歩後ろに下がったところで、もう一度チャイムが鳴らされる。

 慌てて【通話】のボタンを押した。

「はい、美吉ですけど」
『俺。会いに来た』

 端的に用件を告げる彼に、ますます頭が混乱する。

 俺、じゃないわよ……。なんでそんなに飄々としているの?

 できることなら外で対応したいが、今の自分の格好を見下ろしてそれは無理だと悟る。

 コンビニくらいなら行けるものの完全に部屋着のワンピースだし、朝顔を洗った時のままヘアピンで前髪を固定しているため、おでこ全開。

 メイクに至ってはすっぴんだ。

 だからといって追い返すのも悪いし……。

「い、今開けます」

 パニックになりながらも、とりあえず彼を家に上げることにする。

 彼を泊めたあの日にすっぴんは見られているし、幻滅されたところで困ることもない。

 とは思いつつもやはり自分の身なりは気になって、彼がドアのチャイムを鳴らすまでのわずかな間に、眉毛だけササっと書く。

 私の部屋は一階なので彼はすぐにやってきた。とりあえず玄関先で応対する。

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