ハルサメレオンの春



 車から降りると、いつもの視線の喝采を浴びた。

 校門から玄関口までは来賓用の道となっているため、優雅な装飾品があり、かなり整備されている。レンガ道で靴を汚す事がない。



 「レオンー?」

 メイが手招きをしている。ケイも、こっち!と指をさしていた。



 いつもの玄関口へ向かうはずだった。

 けれど、



 「今日から共学ー!きょ・う・が・んぐっ」



 途中まで言いかけて、ゆりあに口を塞がれた。メイはぽかーんとしている。

 え、今なんて?そう、言いかけた。
 聞き間違いがなければ、なんてあるはずもなく。



 「いつもの癖だよねっ。僕も気をつけなくちゃ」



 ケイのフォローが痛々しかった。

 どうやら俺にだけ知らされていなかったらしい。特進コースのみの共学制度に、俺達は追いやられていたことを。



 俺は苦手なんだ。

 ああ、女子という生き物に…


< 12 / 41 >

この作品をシェア

pagetop