ハルサメレオンの春
●女の子というのは、
俺はまあまあ人気なタレントだった。
街へ出れば必ず囲まれるし、隠し撮りをされない様に小さな頃から対策が施されてきたくらいだ。
今は週1のレギュラー番組に、準主演のドラマを2作品、上映中の映画も2作品、広告が5つ。
抑えているとはいえ、中々の実績かもしれない。
それは昼時にやってきた。打ち上げの時に流れで交換させられた、3つ上の女優からのメッセージだった。
共学においやられてから2週間。俺達4人は中庭の噴水広場(薔薇に囲まれた園、通称バラ園)で昼食をするところだった。
最初に口を開いたのはメイだった。
「まーたいつもいつもいつもいつも!」
「もう慣れたけどさ、」
ケイが続けた。
「この唯一の自由な時間を邪魔しないでほしいよね」
「おおっ?今日はケイも言うじゃないか」
メイがケイの自新作である手作り弁当を、つついた。ゆりあはというと、召使いに用意をさせたであろうアフタヌーンティーを優雅に楽しんでいた。
これが俺にとって、楽しいことではなかった。