ハルサメレオンの春



 そんな彼女はアイスを頬張っていた。

 バニラ&クッキー味のアイスクリームをご丁寧にスプーンですくって一口。

 そんな仕草がとても愛らしく写った。



 「ゆりあちゃんちょーだい」



 一瞬視線が交差したであろうところに、メイが遮っていく。ケイは大切に大切にお弁当を左手で囲い込んで、美味しそうにしていた。



 『おぼっちゃんは何をしてるの』



 そんな一言と一緒に、有名女性アイドルとの映え写真が添付されていた。

 ジッと見てやったが、これに何を言えというのか。ずっと意図を問えずにいる。



 「なに、また何が送られてきたの」



 ケイがお上品に頬張りながら、覗いてきた。



 「いいなあ、僕だったらお誘い乗っちゃうかもなー」



 お誘い…その発想はなかった。

 ただの見せつけとしか捉えようがなかったがために、機転の効いたケイの発想に感心をした。

 …って、今の俺にゴシップを取らせようだなんて、何を考えてるんだ。
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