ハルサメレオンの春



 -数ヶ月後、広告が出来上がる前に、宣伝物が先に届いた。



 男性が女性の唇を顎にかけ大胆に掴んでいるアップの写真。男性は女性を覗き込み、女性のルージュが手元に流れる様に着いている。

 そのポスターを3人はじーっと囲う様に論議していた。



 「どうして俺んちなんだよ」



 そんな文句を垂れながら、俺は少しの恥じらいを隠す。

 それはドアップのA案であって、引きのB案はかろうじて隠せていた。俺の母が息子可愛さに余計に頂いてきて、マリとリエも子供可愛さに打ちひしがれ部屋に広げていたのだ。



 「これが春雨( ˙▿˙ )」

 と、メイ。



 「レオンには見えないね」

 と、ケイ。



 次の作品のために俺はグレーヘアから茶髪へと戻っていた。
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