ハルサメレオンの春



 「とてもではないけどレオには見えないわ。色も違うし。色という色よ」

 …色気、とでも言いたいのか、ゆりあは。



 それぞれが各々に意見を述べ合っている中、俺は撮影中に親しくなったマドカさんとの写真を見返していた。

 本来、共演者とはいえ同じ仕事をしたからと、連絡先を交換する義務はない。とくに10代は。恋愛に制限をかけるために事務所からの圧をかけられている程だ。

 前回の打ち上げでの連絡先交換はグループでだったため、向こうが一方的に俺を引っこ抜いてしてきたもの。マドカさんは何も聞いては来なかった。無論、俺からも聞くことはなかった。



 「いかがわしい」



 1人の言葉が抜きん出た。

 メイだ。何度でも言えとばかりに、俺はため息をついた。



 「感情がなくても、できるのね」



 そんなゆりあの言葉に、気づきもせずに。
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