ハルサメレオンの春

⚫︎わかってはいたけど、




 学校、この学園は上履きというものが存在していないかの様に見えるが、それは違う。
 ローファーからローファーへと履き替える。いたってシンプルなシステムである。それも黒から茶へ。

 俺、春雨(はるさめ)レオンは、中学生生活最後の日を迎えていた。そんな日の最中であった。



 「………」



 ラブレターとはまた違う、QRコードのお手紙が多数。カメラを向けたら最後、どこまでアクセスされるかが懸念される。
 どうせ3DCGが浮かび上がるのだろうけれど、ご丁寧にかき集めて鞄へしまい、立ち去った。


 その間も向けられていた視線へは目もやらず、颯爽と歩く俺。


 今日も俺はキマっている。


 …がしかし、この学園は玄関口から男女分離校となっているため、廊下からは男子生徒のみのはず、なのに。


 俺はいつも、誰しもの中にいた。


 男子生徒から告白されることもまあまああって、中等部からエスカレーター式のため後輩には憧れの先輩像に、先輩からは何故か慕われる後輩となっていた。

 約180cmある身長もあってか、俺を下に見る者はいなかった。
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