ハルサメレオンの春
 それから1週間が過ぎていた…

 お昼休みに連絡が来た。
 『お姫様とはどう?』

 ミューは俺との仲をどう話しているのだろうか…


 「なに?どうしたの」

 訝しげな顔をしていたのか、ケイがスマホを覗き込んできた。


 「お姫様?」

 ふーん、と慣れた様に文字を飲み込んで、卵焼きを頬張っている。メイとゆりあには聞こえなかったみたいだ。


 「じゃ、そろそろ」

 俺は立ち上がり、撮影所へ向かう身支度を整え始めた。


 「いってらっしゃいー」と、メイ。
 「またね」と、ゆりあ。
 ケイは手を振り上げた。




 今日はドラマ撮影の最終日。


 「お疲れ様でした!」

 花束を貰いながら、みんなで和気あいあいとしていた。ところに、ミューがやってきた。


 「レオン君。ありがとう」

 「こちらこそ」

 「レオン君…大好きでした」



 それ以降、ミューと会うことはなかった。無論、連絡先を交換することも、なかった。

 こうしてひと夏の恋は終わりを告げたのである。
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