ハルサメレオンの春
 「なに、話って」

 とても真面目に返してみた。…格好は棒立ちで。



 「ミューちゃんとの仲はどうなの」

 「どうって」

 「どうもこうもないのよ、今を聞いているの」

 「今…か」

 「もう、焦れったいわね」



 フンッとゆりあがそっぽを向いて徐ろに拗ねて見せてきた。

 私がミューちゃんのこと好きなの知ってるでしょ、と呟きながら。



 「何も無いよ」



 連絡先を交換していないことは言わないでおいた。

 なんてったって、ゆりあは可愛い女の子が好きすぎる。これをエサに、俺の赴くままに導けそうだと閃いてしまった。
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